社長挨拶

社長挨拶 馬肉への熱い思い

「美味しい馬刺しを皆様に安定的に届けたい」

その熱い思いで世界中を飛び回っています。

株式会社大成 さくら工房
代表取締役 田中 忠雄

今まで日本ではカナダの馬刺しが主流で流通されていました。それは乳離れした仔馬を専用農場へ入れ、穀物、乾草などの天然飼料のみを与えカナダの大自然のなかでストレスが無く、愛情を持って日本の市場向けに育てられた若馬を輸入し販売したからです。そしてその味、色合いが日本のお客様に美味しいと受け入れられたからではないかと感じています。

しかし、時が経ち、時代が変わりカナダでの馬肉生産も曲がり角に差し掛かっています。生体馬の減少、価格の高騰、ヨーロッパの輸入基準の規制強化等が影響し日本へも思うように入荷しない状況が出始めています。このままでは日本の馬肉文化は衰退してしまうとの強い危機感がありました。

その様な状況を改善すべく、弊社では世界中に目を向け良い馬産地は無いかと探し輸入実現にチャレンジしてきました。その甲斐あって2006年にはアルゼンチンから生食用馬肉の輸入を開始、2016年からはポーランドより生食用馬肉の輸入を開始しました。ヨーロッパは馬の一大産地カナダ産馬肉に負けない馬肉を輸入することが出来ました。これにより今大成は3か国より輸入を行いお客様に安定的に供給することが可能となりました。ただ世界の馬肉事情を見た時これで安心という訳には行きません。今後も世界中を飛び回りより良い馬産地が無いか、日本の市場に適した馬はいないか馬の食文化を守る為努力して参ります。

1.馬肉の歴史

かつて長野県の南信地域は木曽馬の産地でした。私が生れ育った頃馬はトラクターであり、乗用車であり、何よりも家族の一員でした。山国であるこの地に暮らす先人は必然的に蛋白源として、また何よりも感謝の意味を込めて廃用馬を食べていました。馬肉は蜂の子、ザザ虫、イナゴなど、今も郷土食として残る伊那谷の名物と共に、自然に受け継がれた食べ物です。

また、馬モツも信州味噌で煮込み「おたぐり」と称し滋養強壮の郷土食として食されています。

2.時代の移り変わりのなかで

1960年から1970年代の高度成長期には、全国展開をスタートさせました。しかしそれと反比例して国内馬肉の頭数は激減していたのです。モータリゼーションの流れにより、農耕馬の需要がなくなり北海道、東北などへ買い付けに駆け回らなければならない状況となり、日本の少ない物量では安定品質、安定供給、安定価格の三原則を守るのは難しいのではないかと考えるようになりました。またその頃の馬肉というと廃用馬が主で、決して美味しいとは言えず、こだわりを旨としていた私は決して満足していませんでした。もっと美味しい馬肉を皆さんに食べて頂きたいとの思いが世界に目を向けるきっかけとなりました。

その思いを胸に世界の畜産先進国を見て回りました。そしてアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ベルギー、と様々な国から輸入を行い販売しましたが、最終的にカナダの重種馬が日本に合っているとの思いからカナダ中心の輸入になりました。しかしそのカナダにも時代の変化が訪れ馬肉が仕入れ難くなり新たな産地を探すとゆう難題が突きつけられました。その中で出会った産地がアルゼンチン、ポーランドあり今我社の三本柱になっています。

3.ポーランド重種馬へのこだわり

これまで、カナダ・アルゼンチンと生食用馬肉を輸入してきた弊社が何故第三の馬肉産地としてポーランドをパトーナーに選んだのか、皆さんにお話ししたいと思います。


実はポーランド馬肉は、長年に亘り日本へ輸入されているのです。それは、もう20年近くになるのではないでしょうか。ただポーランドから直接輸入ではなく一旦枝でイタリア輸出され、イタリアにて処理され日本へ入ってきています。用途としては馬刺し、加熱用と幅広く流通していますが物量があまりにも少なく、また扱う業者も少ない為に全国的に話題になる事はありませんでした。


弊社もポーランド馬刺しが出回っている事は承知しておりましたが、興味を持って馬肉を見る事はありませんでした。しかし馬肉の原料事情が変わって行く時、新たな産地として社内で注目を集める様になりました。

ヨーロッパが馬肉の一大産地であり又消費地である事を考えると、日本に適した馬が必ずいるのではないかと考え色々と情報を集めてみたのです。ヨーロッパでは消費地と産地が同じではなく分かれており国ごとにその役目を果たしていました。その一つの産地がポーランドであったのです。その他に複数の国が産地としてありましたが我々が最も欲しい重種馬が良い状態で飼われていたのがポーランドでした。それはポーリシュ コールドブラット、ポーリシュ アルデンという品種でしかも、各農家が大切に育て穀物肥育を行っている事、繫殖生産者組合が組織されその組織の下全国の重種馬が個体識別番号にて管理されているのです。その事により年間に生まれる仔馬が何頭で地域はどこか、性別はどうか等の情報が分かるのです。又食肉処理場が最新の機材、器具を導入し設備が充実している事、HACCP認定処理場として稼動している事、作業員の平均年齢が若く個々の技術力、新たな仕事への意欲の高さが我々の眼に止まりました。もし弊社が第三の馬産地を作るのであれば是非ここと組みたいと思うようになったのです。


そして、2015年たまたま国内で開かれた食品の展示会に出展していたポーランドブースに馬肉業者の方が来日しておられる事が分かり、お会いする事ができました。我々が思っていたとおり馬にとって素晴らしい環境下にあり又人間的にも素晴らしい人達でした。ここに思いもかけず、こんなにも早くポーランドとの絆を作る事が出来たわけです。ただ弊社は衛生管理上の安心、肉質の安定、規格の正確さの為どうしてもポーランドより直接輸入をしたいとの思いを強く抱いていました。


2015年6月現地に行きこの目で見て、現地スタッフとも話しその後3~4回現地を訪問し詳細に亘り意見交換、確認し最終的に弊社指導の元直接輸入の承諾を得る事ができ、ポーランドより仕入れる事を決断した訳です。


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